夏休みも残り少なくなってきた。8月は暑い日が続いたが、雨もやたら多かった。東北や新潟、北海道など各地で豪雨被害が相次ぎ、「線状降水帯」なる言葉が連日のようにニュースや天気予報で流れていた。いつからこんな言葉が使われるようになったのだろうか。調べてみると、2014(平成26)年8月の豪雨による広島市の土砂災害以降だそうだ。

 誰にでも夏休みには特別な思い出があると思われるが、私の少年時代(確か小学校高学年の頃)の夏休みには今でも忘れることのできない苦い思い出がある。あれは、地元の児童クラブの行事「立山登山」に参加した時のことだ。バスで室堂まで行き、そこから一ノ越を経て雄山山頂まで登り、帰ってくるというよくあるパターンの行事だった。

 ところが、その日は朝から怪しい空模様。室堂に着いた時には激しい風雨と濃い霧で、雄山への登山どころか室堂周辺の散策もままならず、そのままトンボ返りとなった。困ったのは、当時、夏休みの思い出を絵に描いて提出せよという宿題がでており、私は室堂から眺めた立山連峰をスケッチして絵に描くつもりでいたのだ。そこで私は、翌日、室堂でお土産として買った1枚の写真絵はがき(「室堂から見た立山」)を手本に、そっくりそのまま絵にして学校に提出した。

 何とか宿題を出し終えてホッとしていたところ、私の絵が校内で優秀作品とされ、その後、県のコンクールで「佳作」となり富山市内の大和デパートに展示されることとなってしまったのだ。これにはさすがに参った。絵はがきをそっくりまねて書いた絵だとは誰にも言えず、大変気まずい思いで秋を過ごすはめになった。今となっては「少年時代」の懐かしくもほろ苦い思い出である。