5月も半ばを過ぎ、五箇山の新緑が目にまぶしく、通勤途上の小牧ダムや祖山ダムの湖面も深い碧(みどり)色を呈してきた。先日15日(日)、本校と上平小学校・平中学校の3校による合同運動会が開催された。昨年に引き続き、コロナの影響で半日開催ではあったが、3年ぶりに3校合同種目が復活した。毎年、地元の小・中・高校が一緒に運動会を実施しているところは、全国的にも大変珍しいのではないか。

 この時期になると、ふと聴きたくなる曲がある。一青窈(ひとと よう)の『ハナミズキ』(2004年)だ。この曲は、2001年9月11日アメリカで「同時多発テロ事件」が発生した時、ニューヨークにいた友人から一青窈のもとに一通のメールが届いたことがきっかけで生まれたという。今、この曲を聴くと、現在進行中のロシアによるウクライナ侵攻で、悲惨な状況に置かれているウクライナの人々のことを思わざるを得ない。

 ハナミズキという木は北米原産で、春にアメリカ東海岸を南から北に向け順次開花していくことから、さながら日本で言う「桜前線」の如く、「ハナミズキ前線」としてアメリカでは報道されることもあるそうだ。そもそも、アメリカ原産のハナミズキが日本に入ってきた経緯を皆さんはご存知だろうか。

 明治末期の1912年、当時東京市(今のおよそ東京23区にあたる)長だった尾崎行雄が、アメリカのワシントン市にサクラ(ソメイヨシノ)3,000本を贈ったところ、そのお礼としてワシントン市から東京市に60本のハナミズキが贈られたのが始まりとされている。サクラとハナミズキは、当時、日米両国の友好の証だったのだ。ハナミズキの白やピンク(曲の中では薄紅色)の花に、「君と好きな人が百年続きますように」の歌詞のとおり、人と人、国と国との永遠の幸せや平和への願いを重ねる人も多いのではないか。