小田和正の楽曲に『たしかなこと』(2005.5.25リリース・23作目のシングル、同年アルバム「そうかな」に収録)という歌がある。私は、オフコースの時代から長年にわたり小田和正の曲を聴いてきたが、明治安田生命のCMで一世を風靡した『たしかなこと』は、優しいメロディーの中に深い意味をもつ曲だ。そもそも、「たしかなこと」とは何なのか、不確実な今の時代において「たしかなこと」が存在するのだろうか。

 この歌に込められたメッセージを私なりに考えてみた。まずは「哀しみは絶えないから 小さな幸せに気づかないんだろ」の歌詞は、普段私たちはどうしても辛いことや悲しいことにとらわれがちだが、実は幸せは(ささやかなものかも知れないが)自分のすぐそばにあると言っている。さらに「時を超えて君を愛せるか ほんとうに君を守れるか (略) 君のために今何ができるか」は、前回日記の『百万回生きたねこ』のように、人を愛するということの本質を言い表している(と思う)。

 「忘れないで どんな時も きっとそばにいるから」と言ってくれる人がいれば、どんなに心強いことか。そして「いちばん大切なことは 特別なことではなく ありふれた日々の中で 君を 今の気持ちのままで 見つめていること」というフレーズは、愛する人や、自分が大事に思う人(家族や友人、先生であれば教え子)をずっと想い、見守り続けることこそ大切なのだと教えてくれている。

 すぐそばにいて、たとえ遠く離れていても、自分のことをずっと想い続けてくれる人の存在はとても心強く、心が折れそうな時でも勇気づけられる。「切ないとき ひとりでいないで」という歌詞にも、「心配しないで、あなたは一人じゃないよ」というメッセージが込められていると思う。結論として、私なりに「たしかなこと」とは、今も未来もあなたのことを想い、見守り続ける「私がいる」ということだと考えてみたが、皆さんはこの曲からどんなことを感じますか。そして、皆さん一人一人の中にある「たしかなこと」は何ですか。