10月は別名・神無月(かんなづき)と呼ばれる。逆に島根県出雲地方では、古くから10月を神在月(かみありづき)と呼んでいる。これは、10月になると全国から神様達が出雲大社に集まり、いろいろなことを話し合ったという言い伝えによる。神様が出雲に集結するということは、その他の地域は一時的に神様がいなくなるということだが、大丈夫か?

 旧暦の10月10日の夜、「神迎(かみむかえ)神事」が出雲大社の西1㎞ほどのところにある稲佐の浜で行われ、出雲大社境内の神楽殿(かぐらでん)でも「神迎祭」が行われる。神様達は10月11日から17日までの7日間滞在し、17日に神様達をお送りする「神等去出祭(からさでさい)」の後、それぞれ地元へと帰っていったようだ。

 5年ほど前だったか、家族で出雲大社(正式には「いづもおおやしろ」)に旅行した。出雲大社は言わずと知れた「縁結びの神様」で有名だ。主神は因幡の白ウサギで有名な大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)。一般の神社とは違い、参拝は「二礼四拍手一礼」だ。中でも神楽殿正面の大注連縄(しめなわ)は、さすが日本最大級で圧巻であった。

 自分的には今更縁結びでも無かったが、子ども達の将来の良縁をお祈りしたような気がする。しかし、なぜかよく覚えているのが、大社前の「八雲」という蕎麦屋さんで食べた三段重ねの出雲そば(「三色割子そば」)だ。狭いお店だったが、とても美味しかった。伊勢神宮や善光寺でもそうだが、決まって寺社の門前には、旅人を癒やす美味しいお店があるということに改めて気づかされた出雲への旅行だった。