奇跡は起こるものじゃない 起こすものなんだと だから望みを懸けるのさ 夢見る心閉じないで・・という歌がある。コブクロの「奇跡」という曲である。僕らの出逢いがもし偶然ならば?運命ならば?君に巡り逢えた それって奇跡・・という歌もある(GReeeeNの「キセキ」)

 一昔前のドラマ(確か『美丘』というタイトルだった)で、「生きているって、それだけで奇跡なんだよ」という主人公の台詞が今でも心に残っている。脳が萎縮していく難病に冒された主人公の女子大生・美丘が、余命幾ばくも無いなかで、いじめを苦に海に身を投げようとした女子中学生に対して言った台詞と記憶している。

 そう言えば、『奇跡のリンゴ』というタイトルの映画(主演:阿部サダヲ、菅野美穂)もあった。青森のリンゴ農家・木村秋則(あきのり)さんという方が、妻のために、絶対に不可能と言われていた無農薬リンゴの栽培に挑む話である。何度も何度も失敗を重ね、自殺を考えるまで追い詰められるが、ついに栽培に成功するという実話にもとづく感動ものの作品である。

 奇跡とは、もともと人間の力や自然の法則を超え、神などの超自然のものとされる出来事をさす言葉で、多分に宗教や信仰と結びついている。しかし、奇跡を起こすのはやはり生身の人間であり、人生においては、最後の最後まで諦めずひたすら努力を積み重ねた人に訪れるものではないか。ましてや、愛しい人との出逢いや自分が今ここに生きている(生かされている)こと自体が奇跡だと思える、そんな人生を送りたいものである。