このところ、めっきり涼しくなった。朝の通勤途上、沿道にススキや彼岸花、コスモスを目にするようになり、庄川渓谷の山肌も微妙に色づき始めてきた。空に浮かぶ雲の形も変わり、もう気配というより本格的に秋が到来した感がある。

 個人的には、四季の中で秋が一番好きな季節だ。この季節になると、なぜか人恋しくなり、感傷的な気分になる。不思議とバラード調のJPOPが聴きたくなり、昨夜はスキマスイッチの奏(かなで)、スピッツの楓(かえで)、いきものがかりの茜(あかね)色の約束、最後に柴咲コウのひと恋めぐりをYouTubeで堪能した。

 思い起こせば、自分が中学生の時、恋に破れ、オフコースの秋の気配をレコードがすり切れるほど繰り返し聴いていたのがまさにこの季節だった。秋という季節と失恋・感傷はなぜかとても相性がいい。

 そういえば、秋という季節は昔からさまざまな言い方がされてきた。食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋などなど。かの有名な清少納言は「秋は夕暮れ」と『枕草子』に記しており、秋の夕暮れ時に何ともいえない儚さというか、切ない雰囲気を感じている。現代を生きる我々も同じなのだなあとしみじみ思う今日この頃である。